児童思春期外来

児童思春期外来では、小学生(10歳以上)と中学生、高校生の年齢に相当するお子様を対象として診療しております。

発達障害

発達障害発達障害とは、生来的な脳機能の“発達の偏り”によって生じる障害の総称です。
未だに時々誤った認識が持たれていますが、「育て方が悪かった」「愛情を注いでいなかった」ということが原因で起こる障害ではありません。

自閉スペクトラム症/

自閉症スペクトラム(ASD)

ASDは、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー症候群を統合した診断名です。
社会的コミュニケーションの困難、限定的な興味およびそのための行動・反復行動などが見られます。

広汎性発達障害

対人関係やコミュニケーション障害、こだわり・興味の偏りが顕著な発達障害です。
集団に馴染めない(空気を読めない)、ルールを好み臨機応変な対応が難しい、言葉で説明することが困難といった特徴があります。
また、興味のあることに周りが見えなくなるくらい没頭し、特定の領域で優れた成績・成果を出すケースも見られます。

アスペルガー症候群

コミュニケーションの困難、対人関係の困難、こだわりの強さが顕著です。
会話は一見問題ないですが、冗談を鵜呑みにして傷ついたり、指示を勘違いしてしまうことがあります。また、場の空気を読むのが得意ではありません。社会生活を営む上で、周りから顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまうこともあります。
また、自分が決めたルールに強いこだわりがあり、そのルールから少しでも外れてしまうと混乱してしまうことがあります。
視覚や聴覚、味覚、嗅覚、触覚のいずれかが過敏になる(感覚過敏)、身体・手先の動かし方が苦手といった特徴も見られます。

知的障害(精神遅滞)

知的障害(精神遅滞)遺伝子疾患、先天性代謝異常、脳形成異常などの先天的要因、あるいは低酸素性虚血性障害、外傷性脳損傷、感染、中毒性代謝症候群、中毒(鉛、水銀など)の後天的要因によって起こることのある障害です。ただ、原因が不明であるケースも少なくありません。
知的な能力の発達に明らかに遅れが認められる、適応行動が非常に難しいといった障害が18歳までに生じていることが目安となります。
適応行動とは、言葉の理解、言葉の表現、読み・書き、他人の感情を理解・共感する、法律・ルールを守る、自分の身や健康を守る、食べる、歩く、トイレに行く、着替える、整理整頓するといった、現代の日常・社会生活をスムーズに行うための行動のことを指します。

神経症性障害

神経症性障害ストレスなどを原因とした心因性の機能障害です。
主に、以下のような分類がなされます。

チック障害、トゥレット障害

チック障害は運動性チックと音声チックに、そしてそれぞれ単純性・複雑性に分けられます。
単純性運動性チックは、強いまばたき、顔をしかめる、首振り、爪噛みなどが繰り返され、複雑性運動性チックでは物に触れる・蹴る、飛び上がるといったものが見られます。
単純性音声チックは、突然叫ぶ、咳払い、鼻ならしが見られ、複雑性音声チックでは反響言語(人の言葉の繰り返し)、汚言症(汚い言葉を発する)といったものが見られます。
はっきりとした原因はまだ解明されておらず、体質、環境、年齢、脳の発達などが関係しているものと思われます。なお、多くは1年以内に治まります。
運動性チックと音声チックの両方が1年以上続いている状態を、トゥレット症候群と呼びます。

パニック障害

前触れなく突然、動悸、息苦しさ、めまいなどの発作が現れ、それを繰り返してしまう障害です。発作への恐怖心から外出が困難になったり、行動を制限してしまうこともあります。以前は、不安神経症と呼ばれていました。
ひどい発作時には、このまま死んでしまうのでは、おかしくなってしまうのではという強い不安に襲われます。
はっきりとした原因は分かっていませんが、薬物療法、精神療法による治療が可能です。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

注意欠如・多動性障害(ADHD)不注意(集中できない)、多動性(じっとできない)、衝動性(考える前に行動してしまう)という特徴をもつ発達障害です。
子どもに多い障害というイメージがありますが、大人にも多く見られ、またその数が近年増加傾向にあります。
不注意については、自分の好きなことについては集中できるものの他の行動への切り替えができない、話かけられているのに気づかない、学業などでケアレスミスが多い、提出物を忘れる・約束や期日を守れない、単純作業が苦手などの特徴が見られます。
多動性については、授業中に席を立つ、座っていられない、人の話をじっときいていられないなどの特徴が見られます。
衝動性については、人の話を遮る、相手が喋り終わる前に答える、相手の意見をきけない、人のものを悪気なく勝手に借りてしまう、順番を守れないといった特徴が見られます。
成長に従って改善するケースもあれば、慢性化してなかなか治らないケースもあります。また、気分障害・アルコール依存症などと合併してしまうケースもあります。

学習障害(LD)

学習障害(LD)全般的な知的発達に遅れが見られない一方で、特定の能力(聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する)について、その習得と実践に著しい困難をきたす障害です。
中枢神経の障害が関係しているのではないかと言われていますが、はっきりした原因は分かっていません。
また、学習障害は注意欠陥・多動性障害(ADHD)と密接に関係しており、しばしば合併します。
通常、生涯にわたって症状が持続します。対応としては、教育や指導方法の検討・工夫が欠かせません。

知的障害との違い

知的障害の場合は、全般的な知能の遅れが見られます。
一方で学習障害は、学習の、それも限られた能力において、習得・実践に困難をきたします。

統合失調症

考え、気持ちをうまくまとめることができない状態が続く疾患です。現在、国民の1%が統合失調症であると推定されています。特に思春期から40歳くらいの若い世代に多く見られます。症状は大きく、陽性症状、陰性症状、認知機能障害、不安・抑うつに分けられます。
陽性症状では、幻視や幻聴、妄想(本当でないことを信じる)などが見られます。
陰性症状では意欲の低下、またそれに伴う外出の制限、身だしなみを気にしないといった変化が見られます。
認知機能障害では、新しい情報を記憶できない、注意力が低下するといった症状が見られます。
不安・抑うつでは、何をしても気分が晴れず、不眠症状をきたすこともあります。
脳内で情報を伝達する神経伝達物質のバランスが崩れること、ストレスなどが関係しているとの指摘がありますが、はっきりしたことは分かっていません。
薬物療法、精神科リハビリテーションなどにより治療が可能です。

適応障害(OCD)

特定の状況や環境が変わるような出来事によって苦痛が生じ、そのために感情や行動に症状をきたす障害を、適応障害と呼びます。
新しい人間関係の構築がうまくいかずに不安が強くなり、家で泣いてしまう・登校ができなくなるといったことが例として挙げられます。動悸やめまいなどの身体の症状をきたすこともあります。
引っ越しや転校、クラス替え、両親の離婚といった患者さんの身近な小さな社会での出来事から、天災などの大きな社会での出来事までがきっかけとなります。
原因となるストレスは比較的容易に特定できるため、その対象の排除・回避によって症状が改善することが期待できます。

強迫性障害

自身の考えに反してある考えが思い浮かび、それが頭から離れず、そのために何度も同じ行動を繰り返してしまうことを強迫性障害と呼びます。
手を洗った直後なのに不潔である気がして手洗いを繰り返す、家を出ては戸締りや火の元を確認しに戻ることを繰り返すといったケースが典型例です。物の配置や自ら決めたルール・手順に度を越えてこだわるといったこともあります。
はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレスなどが発症のきっかけになっているものと思われます。
認知行動療法、薬物療法による治療が可能です。

児童知能検査

WISC-IV知能検査

WISC-IV(ウィスク・フォー)知能検査を用いて、臨床検査を行います。
5歳0カ月〜16歳11カ月までの児童の知能を測定することができます。
※10歳以上の方を対象としております。

その他にRorschach test、P-Fスタディ(Picture Frustration Study)などを用いて検査をしています。

06-6777-3088